私達の食生活に身近なマグロは、海中でどのくらいのスピードを出せるのでしょうか。
マグロは時速80キロから100キロで泳ぐ、という事をよく言われていますが、実際には少し違っているようです。
あくまでその速度は、2メートル級の大型マグロが、獲物を追う時や天敵から逃げる際に一瞬だけそのスピードが出ている可能性がある、という事に過ぎません。魚の泳ぐ速度は、単純な速さだけでなくその魚の体長によっても変化します。
魚の泳ぐ速さを測定する時は、1秒間にその魚の体長の何倍を泳いだか、という体長倍速度が適用されます。ですので同じマグロでも100キロ程度出せる可能性があるものとそうではないものに分かれます。
実際海中を通常遊泳している際に出ている速度は時速約4キロから11キロ程度とされています。マグロは常に泳いでいないと呼吸が出来ず窒息してしまうため、約100キロのスピードを出し続けるという事は現実的ではありません。
では、なぜマグロは遅いスピードでも常に泳ぎ続けなくてはならないのでしょうか。
マグロは口を半分開けたままにして泳ぐことで、エラに海水を流しています。その海水に含まれている酸素をエラの表面から取り込むことによって生命活動を維持し続けるのです。
なのでどんな遅いスピードでも良いので、泳ぎ続けていなくてはエラに水が流れず死んでしまいます。こうして海を回遊し続け、様々な魚介類を捕食しながら育ったマグロが私たちの食卓に上がっているのです。