マグロは縄文時代には既に食べられていたと推測されています。その時代は漁に関する知識や技術が乏しかったため、成魚ではなく稚魚を食していたと考えられています。漁師の間ではマグロを刺身として食べていたとされていますが、縄文時代は赤身ではなく白身のほうが上物だとされていたため漁業とは縁がない内陸ではマグロを刺身として食べるという文化はあまり広まっていませんでした。
マグロの歴史が色濃くなったのは江戸時代に入ってからです。この頃になると漁に関する技術や知識が進歩して大量にマグロを収穫することができるようになりました。マグロは群れをつくって回遊するという習性があり、これ利用して大量にかつ大型のものまで獲ることができるようになります。たくさん収穫できる分、腐らせることがないように保存する技術が発展していくようになりました。その方法は醤油に漬け込むということです。醤油に漬け込むことで腐らせずに長期間保存しておくことが可能です。このとき脂身は醤油をはじいてしまい、さらに脂っこいものは日本で好まれていなかったため捨てられていたという歴史があります。
刺身としてマグロが親しまれるようになったのは天保の時代です。マグロがたくさん獲れてかつ価格が安いということもあって、寿司の屋台を営業している店が試しにマグロを刺身として提供したことがきっかけです。思っていたよりもマグロの刺身が美味しかったため、瞬く間に江戸に広がっていきました。