マグロの食べ方には刺身や炙り、焼きなど色々ありますが、その中でも根強い人気があるのが「漬け」です。
しょうゆと煮切った酒、みりんを合わせた汁に刺身用マグロの赤身を漬けるだけの簡単な調理法ですが、マグロに染み込んだ漬け汁の濃厚な味とマグロのうま味が絡み合ってワンランク上の味わいとなります。
そんなマグロの漬けですが、その歴史はというと江戸時代にまでさかのぼります。
今でこそマグロは全国に流通しており、日本人が好きな魚のナンバーワンだとも言われていますが、それは冷凍・冷蔵技術が発達した結果であり、保存技術が発達しておらず輸送方法も人力しかなかった当時は鮮度の落ちやすい魚としてあまり人気もありませんでした。
しかし、江戸周辺でこいくち醤油が開発され、それに漬けて食べると美味しいという評判が広まり、たちまち漬けマグロが人気となりました。醤油に浸ける事で保存期間も飛躍的に延び、その人気は江戸から離れた場所にも拡がったという事です。
マグロの漬けは早ければ数十分で美味しく食べられますが、時間をかければかけるほど余分な水分が抜けきって、マグロのねっとりとした味わいが楽しめます。
まさに時間が料理をするという表現がピッタリ合うマグロの漬けは、江戸から遠ければ遠いほどうま味が凝縮されたものを堪能する事ができたはずです。
このような歴史も全国的にマグロが周知され、愛されるようになったきっかけといえるかもしれません。