日本人にとって、マグロとは生鮮食品として今や欠かせない食材であり、一般家庭でも手軽にスーパーなどで購入することができ、その旨みと使い勝手の良さから豊富なマグロ料理のレシピが数々発案され、庶民の食卓に並ぶこともすっかりと定着しています。
一方で、高級な料亭や寿司屋などでも、お店を営む人間がじっくりと吟味し、厳選されたマグロを丁寧に扱い、特に希少価値の高い産地のものや少量しか取れない貴重な部位を美味しく頂けます。
その歴史は古く、言葉や文字も現代とまるで異なり、槍や素手で食べ物を捕ってそのまま食べていたような、所謂、石器時代には既にマグロもまた食べられていたと、歴史の資料からは読み取ることができます。
江戸文化では、今でこそ高級食材として名高い大トロの部分は破棄されていました。マグロ自体がこの時代ではあまり有り難いものではなかったという説も残っています。時代と共に食べる物も変化することがこのようなことから伺えます。
その後、カマやテールと言った部分まで、余すことなく使い切り美味しい料理を作るようになったつい最近では幕を下ろしてまだ日も浅い、築地市場でのマグロの歴史も現代の人々にとっては記憶に残る大きな出来事でした。戦前からあった築地のマグロに救われた人も多くいました。
美味しく食べられるようになった今日この頃ですが、時代ごとに様々な風習があったこともマグロの扱い方ひとつで見て感じることができます。